JAMES THURBER 著
日本語訳 yuko(གཡུ་སྦྲང་།)
ある日、畏れ多き権威を持った厳格なダチョウの長老が、他のすべての種族に対しどれだけ自分たちが優れているかについて、若い弟子のダチョウ達に講義をしていました。
「我々はローマ人に知られておった、いやむしろ、ローマ人が我々に知られておったのだ。」と長老は言いました。
「彼らは我々を“avis struthio”(ラテン語でダチョウの意)と呼び、我々は彼らをローマ人と呼んだ。ギリシャ人は我々を“strouthion”(現在はギリシャ語で小雀の意)と呼び、それは“真実の鳥”を意味したのだ。もしそうでないならば、そうあるべきなのだ。私たちは最も大きな鳥であり、それゆえに最高の鳥である!」
弟子達は皆、「そうだ!そうだ!」と叫びました。
オリバーという名の思慮深い一羽を除いて。
「我々はハチドリのように後方に飛ぶことはできません。」とオリバーは言いました。
「それは、ハチドリの勢いが衰えておるからだ。」と長老は言いました。
「我々はどんどん名を上げ、前進しておるのだ!」
「そうだ!そうだ!」
オリバー以外のみんなが叫びました。
「我々は最も大きな卵を産み、それゆえ最高の卵なのだ!」と長老は続けました。
「ロビン(和名でヨーロッパコマドリ)の卵はもっと綺麗です。」とオリバーは言いました。
「ロビンの卵からは所詮ロビンしか生まれてこないのだ。」と長老は言いました。
「ロビンは芝生に張り付いてばかりの虫食い中毒である。」
「そうだ!そうだ!」
オリバー以外のみんなが叫びました。
「我々は4本指でうまくやれるのに対して、人間は10本も必要である。」と長老は弟子たちに気付きを促しました。
「しかし、人間は座ったまま飛ぶことができますが、我々ははまったく飛ぶことができません。」とオリバーは批判しました。
長老は、まず片目で、次にもう一方の目でオリバーをひどく睨みつけました。
「人間は丸い世界を飛ぶにはあまりにも速すぎる。」と長老は言いました。
「すぐにその者はすさまじい追突とともに自分自身に追いつくであろう。そして、後ろからその者を襲ったのがその者自身であったとは、決して知る由もないであろう。」
「そうだ!そうだ!」
オリバー以外のみんなが叫びました。
「危機的状況において、我々は砂の中に頭を突っ込むことで姿を見えなくすることができるのだ!」と長老はわめきちらしました。
「それは他の誰にもできないのである!」
オリバーは「我々が砂の中で見えないというのに、他から姿が見えなくなっていると、どうしてわかるのですか?」と長老を問い詰めました。
「屁理屈だ!」と長老が叫ぶと、オリバー以外のすべてのダチョウ達も「屁理屈だ!」とその言葉が何を意味するかもわからず叫びました。
ちょうどその時、長老と聴衆はただごとではない奇妙な音を聞きました。
それは雷がどんどん近づいてくるような音でした。
しかし、それは空の雷ではなく、押し寄せるおびただしい数の凶暴な象の群れだったのでした。
長老とオリバーを除く他のすべてのダチョウ達は、すぐさま頭を砂の中に突っ込みました。オリバーは、象の群れの嵐が去るまで、近くにあった大きな岩陰に避難しました。
そしてオリバーが岩陰から出て来たときに見たもの、それは...
砂と、骨と、羽の海でした。
そしてそれらはすべて、長老と弟子達の残骸でした。
念のため、オリバーは点呼をとってみましたが、自分で自分の名前を呼ぶまで返答はありませんでした。
「オリバー!」「そうだ!そうだ!」
と、オリバーは自分で言いました。
その声は、地平線上にかすかに響く最後の雷鳴を除き、砂漠に残るたったひとつだけの音でした。
✏️Translated into Japanese by yuko(གཡུ་སྦྲང་།)
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