Winter/冬


「冬」

Paul Celan 
yuko(གཡུ་སྦྲང་།日本語訳


母なるウクライナでは雪が降っている

救世主の冠は無数の悲しみの粒子


ここで流す私の涙のすべて

あなたの喪失へと差し出す

誇り高き沈黙の一瞥

それは私の安堵のすべて

 

私たちは今死にゆく

なぜあなたは眠りにつこうとしないのだ

なぜあばら屋は崩れ落ちようとしないのだ

この風でさえ

戦慄のぼろきれの中をこそこそと逃げ回る

金属の破片で埋め尽くされた轍

そこに凍てつく者

その腕は蝋燭を灯すための燭台か

その心は旗か


私は暗闇の孤独の中で変わらずにいた

日々は優しく癒されるのだろうか

それともあまりにも鋭く切りつけるのだろうか

漂流する星々の間で今

引き裂かれた甲高い耳障りなハープの弦


そんな最中でも時折

薔薇いっぱいに満ちた時間に調和される


命尽きてゆく

一度だけ ただもう一度だけでいい

何がやって来るのだろうか 母よ

それは目覚めか それとも傷跡か


もしも私もウクライナの雪に沈むならば



Tibetan translation>>click here




Paul Celan(パウル・ツェラン/1920-1970

ドイツ系ユダヤ人の詩人。

人口の半分はドイツ語を話す、現在のウクライナで生まれる。

1958年にブレーメン文学賞を、

1960年にはゲオルク・ビューヒナー賞を受賞。 

ゲーテ、ホルダーリン、カフカ、リルケと並び、世界的に有名なドイツの作家/詩人となり、多くの詩集を出版。

作風は独特で具象的、時に曖昧で難解なものでもあった。

詩の行間には、困難な人生経験や精神的に居場所のない詩人の心象風景がうかがえる。


#poetry #translation



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